マーティン・スコセッシ監督は、この魅力的な映画『カジノ』の中で、ラスベガスとマフィアのつながりの一端を描きました。本作は、かつてギャングのために4つのカジノを経営していた男性の実話を描いた、ニコラス・ピレッジの本をもとにしています。
ミステリアスな場所にいる気分になる人もいるでしょう。
映画『カジノ』の良さ
映画は冒頭から自動車爆弾で始まり、サム・「プロ」・ロススティーンという人物について語られます。そして彼の身に起こっていることが描き出されていきます。最初の1時間は語りであり、ロススティーン(ロバート・デ・ニーロ)らがカジノで何百万ドルもを稼ぎ出す様子が描かれます。
これはたいへん不思議です。スロットマシンの25%が手に入ると想像してみてください。大量のコインをどう処理しますか?どうやって毎週カンザスシティの仲間たちに運べるよう紙幣に変えますか?『カジノ』ならそれが分かります。他の娯楽や食品店の報酬からかすめ取る方法までも分かります。そしてカジノで不正にくすねようとすると、どうなるかも。ブラックジャックで男がイカサマをするハプニングがありますが、警備員数人が男のところに走ってきて、おどろおどろしい武器を突きつけます。
想像を絶する結果
『カジノ』は、『グッドフェローズ』と同じキャスティングで製作されました。ロバート・デ・ニーロとジョー・ペシは、別の暴力映画にもキャスティングされています。
映画『カジノ』の良さ
スコセッシは例外なく成功を収め俳優たちも素晴らしく演じている中、他の人をキャスティングする必要が一体あるでしょうか?ロバート・デ・ニーロ演じるサム・ロススティーンは、『タクシー・ドライバー』でのトラヴィス・ビックルや『キングオブコメディ』のルパート・パプキンのような素晴らしい役ではないかも知れませんが、デ・ニーロはこの役柄を演じることに非常にコミットしています。ペシも同様ですし、サムの妻を演じるシャロン・ストーンは格別です。
語りによるモノローグ
『グッドフェローズ』と同じく、『カジノ』はナレーションによって語られます。スコセッシは、『グッドフェローズ』が好評だったため『カジノ』でも少しやりすぎてしまったかも知れません。『グッドフェローズ』ではナレーションの台本が終わるタイミングが分かりましたが、映画『カジノ』全体は基本的に途切れることがありません。プロットの一部が、登場人物たちの談話シーンで語られることがあり、それはスコセッシの好みでしょう。情報を伝える際には、ナレーションは最後の選択肢として使用される、などといった制約は『カジノ』には存在しません。
強烈で複雑なキャラクター
『グッドフェローズ』は、お互いのアイデンティティ、不完全性、特殊性が際立つキャラクターを作り出すという見事な仕事をしています。『カジノ』は更に秀逸で、主人公2人組の力強い友情を構築する努力をしています。また、マーティン・スコセッシ監督作品の特徴の一つに、ポップ音楽の使用があります。彼は音楽を作品のムードを完璧に表現するために用いています。優れた映画監督であるクエンティン・タランティーノ、リチャード・リンクレイター、コーエン兄弟の特徴と同様です。『カジノ』のサウンドトラックは、『グッドフェローズ』のサウンドトラックで使用したのと同じ技術を活用しているので ―トニー・ベネット、スロッピー・ウォーターズ、クリーム、ディグニタリー・マーティンなど― これらのアルバムは同じ感じです。